審査員総評

審査基準に基づく厳正な審査の結果、大賞(梅若賞・大槻賞)をはじめ27面が入賞作品として選ばれました。受賞された皆様おめでとうございます。
今回は、昨年より良い作品が多く応募され、全体的なレベルは高くなってきたと喜んでいる反面、今年も審査員が期待している「もう一歩突き出た」作品に出合えなかったのは残念です。
今年は応募申込書に「想定した曲や表現、重視した点など」を記入し、想いを込めて打っていただいたことや、手直し作品の応募を推奨したことが良い結果を招いたのではないかと考えています。
これまでも、「能の曲を知り、舞台の動きを知り、能面の動きや表情の変化を理解して下さい」、「写しとは何かを理解してください」「能面はすべて品がいる」など色々の角度からアドバイスしてきましたが、今回も感じた点を何点か申し上げたいと思います。
大賞・特別賞等の作品は大変良くできています、十分舞台で使えます、しかし積極的に使いたいとは思いませんし。舞台にかける側として厳しく言えば、「良くも悪くもないまあまあな作品」にとどまっています、一歩突き抜けていないのです。
審査員は理想から指摘し講評しますから、私たちが指摘するような作品が現れたら、「令和の名品」となるでしょう。これまで名品と呼ばれる能面の出現は年代的に集中していますし、そう簡単には出るものではないことも理解しています。しかし、選外の作品も含めてもう少しの惜しいところまで来ているので、あえて厳しい講評をさせて頂いています。期待しているのです。
例えば、コメントに書きましたが、梅若賞の「猩々」では、人間でない妖怪の表現と笑い、大槻賞の「天神」のスケールの大きさ。市長賞の「黒髭」は、なんとなく口がふわっとして強さを失っている、これらが一番大事なところで、一歩飛び抜けるか、まあまあな作品に終わるかの境なのです、他の面でも口角のちょっとした部分が悪く力をなくしている作品や、人間か・神か・妖怪か、子供か大人か、痩せているのかなど何を表現するのか曖昧になった作品、表面的な写しで一つの表情しか出ない作品などは、ほんの少しの改善で大きく飛躍すると思います。面の本質を写しその生気、躍動感を追求して下さい。
彫より彩色を重視する傾向もあるのですが、彩色によりある程度ごまかしができますので彩色に力を入れるのでしょうが、彩色して失敗したら彫からやり直すぐらいの気がないとだめでしょう。新しいものを作ることも大切ですが、だめであれば手直しすることがもっと大切です。毎回コメントで問題点を指摘しています、ぜひ手直ししていただきたい。今回推奨した再応募に応じていただいた作品は、入賞されるなどいずれも改善されています。
最後にレベルを上げるには舞台を見ているかどうかにかかってきます。たくさん舞台を見て、良い面を知ってください。
もう一つは舞台で使ってもらうことです、舞台で使えば能面は良くなってゆきます。置いて観るのと装束と頭をつけて観るのと大きく違う場合がありますし、舞台で見ないとわからない場合もあります。ぜひ機会があれば使ってもらってください。能面祭では使う機会も企画しています、今回も4曲に6面を使用することになりました。
最後に能面を愛してください、大切にしてください。良い作品を期待しています。

(文責・事務局)

第13回島熊山能面祭募集要項
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第13回島熊山能面祭
島熊山能面祭 TOP
東京能面展

ごあいさつ

第13回島熊山能面祭にご応募いただきありがとうございました。

昨年、能面祭のあり方を問うアンケート調査をさせて頂きました。多くの方から励ましと継続を希望する声をいただき、能楽師の先生方の協力も得て、島熊山能面祭を続けることになりました。また、アンケートで頂いたご意見を参考に、第1に「能面を完成させるため過去に応募し修正した作品の再応募の推奨」、第2に応募申込書に「制作の意図や重視点・質問などを記入」していただく、第3に「応募面を舞台で使う機会を増やし、能を見る機会の提供」などの改革を行いました。結果、審査員総評のとおり、応募作品のレベルはアップし、昨年該当なしだった梅若実賞、大槻文藏賞も復活し、多くの入賞作品が選ばれました。しかし、改革は始まったばかりで、大きな成果が現れるのは今後の課題だと思います、期待しています。

今回も審査員のシテ方梅若実玄祥先生・大槻文藏先生・山本博通先生・赤松禎友先生・山崎正道先生・武富康之先生・狂言方小笠原匡先生に大変ご協力いただきました。改めてお礼申し上げます。
さらに、今年も豊中市より「豊中魅力アップ助成金」の交付を受けることができました。今後も豊中から全国に能楽・能面を発信する活動を強めます。豊中市にお礼申し上げます。
なお、コメント及び審査員総評は審査における審査員の意見や感想を事務局がまとめたものです、コメント等に対する質問は事務局までお問い合わせください。

審査員

観世流能楽師 シテ方         泉流能楽師 狂言方

梅若 玄祥先生  大槻 文藏先生   小笠原 匡先生
山本 博通先生   赤松 禎友先生
山崎 正道先生   武富 康之先生
上記大賞作品を「みおつくしチャリティー能 花筐」に使用致しました。
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受付
番号
作品名 応募作者 出身地
奨励賞
(9面)
4 長霊癋見
(ちょうれいべしみ)
糸井久明 福岡県
9 十六中将
(じゅうろく
  ちゅうじょう
)
白井充夫 埼玉県
50 宝増
(ほうぞう)
福原敏郎 埼玉県
66 万媚
(まんび)
田中徳平 福岡県
73 泥眼
(でいがん)
岩武忠典 大分県
86 大癋見
(おおべしみ)
藤森信義 大阪府
102 増女
(ぞうおんな)
亀川博道 兵庫県
109 小獅子
(こじし)
笹本 榮 兵庫県
119 蝉丸
(せみまる)
西村 武 福岡県
入選発表!
交流会の
ご案内


入選作品
受付
番号
作品名 応募作者 出身地
豊中市長賞 99 弱法師
(よろぼうし)
藤田修三 兵庫県
審査員特別賞 111 大飛出
(おおとびで)
長谷川好昭 兵庫県
受付
番号
作品名 応募作者 出身地
梅若玄祥賞 90 小面
(こおもて)
井上欣一 長野県
大槻文蔵賞 110 小面 
(こおもて))
長谷川好昭 兵庫県

受付
番号
作品名 応募作者 出身地
優秀賞
(2面)
42 大顰
(おおしかみ)
立錦祥元 広島県
79 邯鄲男
(かんたんおとこ)
田川聞悟 大阪府
特別賞
大  賞